授業動画導入について


 僕は塾講師になった時からずっと対面授業が最強だと思ってきました。ですが,コロナ渦などによる社会の変化により,動画授業を取り入れざるを得なくなりました。塾用の動画授業を外注するという選択肢もありましたが,それだと個人塾の良さはなくなります。なので,授業が終わった後,夜な夜な授業動画を作ることにしました。

 動画授業作成時に,まず考えたことは,タブレット学習の問題点でした。現在では,タブレットを導入する学校や塾も増えていますが,タブレットを使った学習にネガティブなイメージを持っている方も多いと思います。ちなみに僕もタブレットの導入が昨今の子どもたちの学力低下の要因になっていると思っています。(もちろんそれ以外の理由もありますが)

では,タブレット学習の何が問題なのでしょうか。

もっとも大きな問題は「能動的な学習ができないこと」です。言うまでもなく,学習の肝は「自分で試行錯誤しながら手を動かし,覚えるべきことをきちんと覚え,理解すべきことを何回も繰り返し定着させること」です。しかし,従来のタブレット学習だと,解説動画を見て分かった気になり,実際に自分で解くことなく完結するんですよね。そして理解していなくても,覚えてなくても次に進んでいく。もちろん,これで成績が上がるわけがありません。

これらの問題を解決するために,さくら塾では小テストを頻繁に行います。結果が悪ければ個別に宿題を出し,それでもダメなら別日に呼び出します。そうすると,ほとんどの子は真剣に取り組むようになるんですよね。

もちろん動画にも仕掛けがあります。全ての動画に,自分で手を動かし考えてもらう時間を設けています。タブレット学習と聞くと,全ての時間,タブレットを見ていると思われた方もいると思いますが,タブレットを見ている時間は, 授業全体の3割くらいです。残りの7割は,自分で手を動かし,試行錯誤してもらってます。

授業動画を導入した頃は,定期テストの平均点が落ち込みましたが,今では元の水準まで戻ってきました。そして対面授業でできなかったこともできるようになってきました。動画授業を導入してできるようになったことを書いておきますね。 

自分のペースで視聴できる
対面授業だとスピードの遅い子は授業についていけなくなりますが,動画だと自分のペースで視聴で きます。また,聞き逃したり,分からないところがあれば,巻き戻して何度も見ることができるので,きちんと学びたい子にとっては最高のツールになります。

家で効率的な学習ができる
さくら塾では,動画視聴システムを導入しているので,塾で見た動画は家で見ることができます。家庭での復習はもちろんのこと,随分前に勉強したから忘れたという場合でも利用できるので,効率よく学習できます。

③ 塾を休んでも安心
コロナ渦になって,学級閉鎖,学年閉鎖が以前よりも増え,塾を休まなければならないという機会が増えました。そういう場合でも動画視聴システムがあるので家で勉強することができます。

 途中入塾でも安心
うちの授業は少々特殊です。特殊であるがゆえに,これまで途中入塾の子にとっては入りにくい塾でした。例えば,英語の授業。高校で習う5文型の指導を授業に取り入れています。これは中学では習わないので,途中入塾の子がその指導に慣れるまで苦労していました。動画授業を導入した今,導入部分を動画で見てもらい,スムーズに合流できるような仕組みを作っています。

 各中学校に対応できる
数学や英語は学校によってそこまで進度の差はありませんが。理科や社会は学校によって,進み方はバラバラです。例えば,理科は羽津中が生物分野,山手中は電気分野といった具合に,単元が丸ごと違うというのもよくあります。動画授業を導入していなかった頃は,どちらの中学も2単元並行して授業を受けてもらってました。そうなると学ぶ側の負担も大きくなりますし,週2回の授業では時間が全く足りませんでした。動画授業を導入した今では,各中学校別の対応もでき,時間的余裕もでき,その分演習時間に費やすことができるようになりました。これまで山手中,羽津中のみの募集でしたが,今はその縛りをなくして,山手中,羽津中以外からの募集も受け付けています。